カトリック神父の性的虐待 2002.4.24読売新聞 
        
 
 



 ショッキングかつセンセーショナルな記事が飛び込んできた。何とアメリカのカトリック神父が少年や少女にわいせつな行為を働き、また教会自身がこの問題を隠蔽した節があるという事件である。この事件に接し、真っ先に頭に浮かんだのがブラッド・ピット主演の映画「スリーパーズ」である。少年刑務所という場所の違いはあるが、幼児に対する性的虐待という点では一緒でとても重苦しい映画であった。
 今回の事件では、その加害者が聖職者であること、また組織ぐるみの可能性を残しているところに問題の深刻さがうかがえる。しかし、教皇ヨハネ・パウロ2世の心中を察してあまりある。教会の世俗化、退廃はこれまでの歴史が物語ってはいるが、まさに現代の退廃である。この問題の背景として、カトリック聖職者の独身性が取りざたされているが、弁解の余地はない。信頼回復といえども一朝一夕にはいかないだろうが、ここはカトリック教会あげての問題解決を望む。